病院指標
令和6年度 水島協同病院指標
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
- リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
- 血液培養2セット実施率
- 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
- 転倒・転落発生率
- 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
- 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
- d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
- 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
- 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数
| 年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 患者数 | – | – | 51 | 42 | 111 | 213 | 327 | 746 | 941 | 326 |
2024年6月1日から2025年5月31日までのDPC対象入院患者さんの年齢構成を示しました。
20歳未満:9名(0.3%)、20歳以上60歳未満:417名(15.1%)、60歳以上:2,340名(84.6%)で、高齢化社会を反映して、高齢者が全体の5分の4を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし | 110 | 25.76 | 20.78 | 22.73 | 82.94 | |
| 110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 手術なし | 98 | 20.99 | 13.66 | 6.12 | 82.02 | |
| 050130xx9900x0 | 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 | 71 | 27.27 | 17.33 | 4.23 | 85.82 | |
| 060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 | 71 | 3.01 | 2.57 | 0.00 | 70.51 | |
| 0400802499x0xx | 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし | 55 | 17.62 | 16.40 | 0.00 | 85.33 |
急性呼吸器感染症に多く対応し、肺炎、気管支炎と誤嚥性肺炎を併せて多くの患者さんを受け入れています。 心不全については、「心不全チーム」が関わり、適切な医療・ケアを提供しています。
また、当院は73床の透析病床を有し、現在、約200名の患者さんの透析を行っています。そのため腎疾患の患者さんも多く受け入れています。
外科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし | 18 | 18.17 | 8.88 | 11.11 | 84.06 | |
| 060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 | 15 | 2.93 | 2.57 | 0.00 | 69.60 | |
| 060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 | 15 | 6.27 | 4.54 | 0.00 | 72.20 | |
| 060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし | 15 | 7.80 | 9.08 | 0.00 | 72.93 | |
| 090010xx99x4xx | 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり | 15 | 4.27 | 3.64 | 0.00 | 55.60 |
急性胆のう炎や鼠径ヘルニア、急性虫垂炎などの良性疾患の手術をはじめ、乳がん、消化器がんなどの悪性腫瘍まで多様なニーズに対し、手術を行っています。腹部手術については、年々、腹腔鏡手術の割合が増しており、現在、腹部手術のおよそ7割を腹腔鏡下で行っております。平均在院日数の短縮に寄与しています。
固形がんに対する抗がん化学療法や、がん終末期の受け入れも担っており、往診を行っている医療機関と連携し、患者さんのご要望に応じた療養の場を提案しています。また、地域の要望に応じて、認知症の方でもお断りせず受け入れています。大腸内視鏡検査に伴う大腸ポリープ切除術後の経過観察入院は、内科と分担し、外科も担っています。
眼科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 020110xx97xxx1 | 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 | 107 | 2.00 | 4.29 | 0.00 | 74.47 | |
| 020110xx97xxx0 | 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 | 65 | 1.98 | 2.49 | 1.54 | 76.65 | |
| 020320xx97xxxx | 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり | – | – | 3.08 | – | – | |
| 020110xx99xxxx | 白内障、水晶体の疾患 手術なし | – | – | 2.37 | – | – | |
| 020250xx97xxxx | 結膜の障害 その他の手術あり | – | – | 2.81 | – | – |
白内障の患者さんを多く受け入れ、1泊2日の入院で白内障手術を行っています。
この他、結膜炎等の治療を行っています。
泌尿器科
| DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 11012xxx02xx0x | 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病 なし | 20 | 3.55 | 5.16 | 5.00 | 61.85 | |
| 110080xx991xxx | 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり | 18 | 2.00 | 2.45 | 0.00 | 73.72 | |
| 110200xx02xxxx | 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 | 12 | 9.58 | 7.77 | 0.00 | 80.42 | |
| 110310xx01xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 経尿道的尿管ステント留置術 | 12 | 17.75 | 13.58 | 25.00 | 65.17 | |
| 110070xx02xxxx | 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術+術中血管等描出撮影加算 | – | – | 6.75 | – | – |
救急患者さんの受け入れを積極的に行っていることもあり、多くの尿路結石症および尿路結石症に随伴する尿路感染症に対して積極的な治療を行っています。内視鏡下破砕手術・体外衝撃波結石破砕術など多様な治療選択を有し、尿路結石症の患者さんに対してはクリニカルパスを用いて、安全かつ均一的な入院治療を提供しています。
また、前立腺癌の増加に伴い、診断および適切な治療提供のため積極的に前立腺生検を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
| 初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
| 胃癌 | – | – | – | – | – | 1 | 8 | |
| 大腸癌 | – | – | – | – | – | 22 | 1 | 8 |
| 乳癌 | 17 | 13 | 17 | – | 30 | 1 | 8 | |
| 肺癌 | – | – | – | 1 | 8 | |||
| 肝癌 | – | – | – | – | – | 16 | 1 | 8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
患者数としては乳癌が最も多くなっています。次いで大腸癌、肝癌の順に多い結果となりました。
当院では、手術だけでなく、抗癌剤治療を行える体制を整え、患者さんに合わせた治療法を選択し、総合的に管理しています。また、放射線治療など、当院では受入環境が整っていない治療については他医療機関に紹介を行っています。
なお、癌を疑った検査入院において、退院時に結果が明らかでないものも多いため、病期分類が不明の症例も存在します。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
| 患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
|---|---|---|---|
| 軽症 | – | – | – |
| 中等症 | 54 | 22.76 | 77.04 |
| 重症 | 24 | 13.83 | 83.58 |
| 超重症 | – | – | – |
| 不明 | – | – | – |
入院した肺炎のうち、小児の肺炎、誤嚥性肺炎を除くものを成人市中肺炎とし、その重症度分類を示しました。
中等症における入院患者さんの平均年齢は約75歳と、後期高齢者が多くを占めています。
脳梗塞の患者数等
| 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
|---|---|---|---|---|
| 3日以内 | 41 | 28.41 | 81.15 | 26.09 |
| その他 | – | – | – | – |
I63$(脳梗塞)に分類される症例の割合が高く、特に発症日から3日以内の急性期脳梗塞が集計対象全体の約9割を占めます。急性期脳梗塞の患者さんの平均年齢は80歳と、後期高齢者が多くを占めています。
治療とリハビリを行い、多くの患者さんが自宅もしくは施設に帰られ、残りの患者さんはリハビリテーション継続のために、リハビリテーションを専門とする病院に転院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
外科
| Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K664 | 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 等 | 23 | 5.26 | 14.96 | 78.26 | 78.70 | |
| K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 20 | 3.05 | 5.00 | 5.00 | 65.75 | |
| K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 15 | 1.73 | 3.53 | 0.00 | 72.20 | |
| K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 等 | 15 | 0.93 | 1.00 | 0.00 | 69.60 | |
| K6182 | 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 等 | 14 | 22.29 | 41.79 | 71.43 | 76.43 |
外科では固形がんに対する抗がん化学療法も積極的に行っており、薬剤の血管漏出予防のため中心静脈ポートを使用しています。
がん終末期の役割も担っており、往診を行っている医療機関と連携し、患者さんのご要望に応じた療養の場を提案しています。がんの方を含め経口摂取が困難な長期療養状態の方に対しても中心静脈ポートを利用しています。
内科
| Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 等 | 75 | 1.75 | 3.08 | 0.00 | 70.61 | |
| K664 | 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 等 | 25 | 45.60 | 207.28 | 32.00 | 82.92 | |
| K616-41 | 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 等 | 19 | 13.37 | 15.84 | 0.00 | 82.84 | |
| K6182 | 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 等 | – | – | – | – | – | |
| K6871 | 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 等 | – | – | – | – | – |
内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術が最も多くなりました。胃瘻造設術は、他医療機関・介護関連施設からの紹介患者さんを中心に行い、手術後は紹介元の医療機関、介護関連施設へ帰られます。患者さんに応じた退院支援を行い、スムーズな連携を図っています。
当院は、73床の透析病床を有し、現在、約200名の患者さんの透析を行っています。そのためシャントに関係する手術・処置も多く、緊急の経皮的シャント拡張術・血栓除去術にも対応できる体制を整えています。
眼科
| Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K2821ロ | 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 等 | 170 | 0.00 | 0.99 | 0.59 | 75.29 | |
| K2231 | 結膜嚢形成手術(部分形成) | – | – | – | – | – | |
| K224 | 翼状片手術(弁の移植を要するもの) | – | – | – | – | – | |
| K2171 | 眼瞼内反症手術(縫合法) | – | – | – | – | – |
近年の高齢化社会を反映し、白内障の手術を希望される患者さんが増えており、1泊2日の入院で白内障手術を行っています。
泌尿器科
| Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 等 | 18 | 1.89 | 1.22 | 5.56 | 60.67 | |
| K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 16 | 1.94 | 11.81 | 18.75 | 65.19 | |
| K8411 | 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 等 | 13 | 0.92 | 8.08 | 0.00 | 80.08 | |
| K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 等 | – | – | – | – | – | |
| K830 | 精巣摘出術 | – | – | – | – | – |
当院では体外衝撃波など他の治療手段も有していますが、破砕用レーザー・軟性尿管ファイバーの導入で従来より、より広範囲の尿路結石に対し、患者さんの負担が少ない経尿道的内視鏡手術を適応することが出来ています。
出血や合併症が少ない手術を追求しています。患者さんの高齢化に合致した、安全かつ短い入院期間での治療を心がけています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
| DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
|---|---|---|---|---|
| 130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | – | – |
| 異なる | – | – | ||
| 180010 | 敗血症 | 同一 | – | – |
| 異なる | 11 | 0.40 | ||
| 180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | – | – |
| 異なる | – | – | ||
| 180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 28 | 1.01 |
| 異なる | – | – |
手術・処置等の合併症では、透析関連の症例が多く、シャント閉塞、狭窄、透析低血圧に対するための入院が大半を占めています。
敗血症は、入院時ならびに入院後に発症したものが多くを占めるという結果でした。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
| 肺血栓塞栓症発症の リスクレベルが 「中」以上の手術を施行した 退院患者数(分母) |
分母のうち、肺血栓塞栓症の 予防対策が実施された 患者数(分子) |
リスクレベルが「中」以上の 手術を施行した患者の 肺血栓塞栓症の 予防対策の実施率 |
|---|---|---|
| 101 | 95 | 94.06% |
肺血栓塞栓症発症リスク如何に関わらず、物理療法以上の予防対策を実施しています。例外は、中等度以上の下肢虚血症状を有する場合と、長期臥床状態で術後も歩行の可能性がない患者さんです。
方法は、弾性ストッキングの着用(浮腫やるい痩などでストッキングの着用が向かない場合は専用の弾性包帯)およびフットポンプの使用(静脈瘤やDVTが術前に診断されている場合を除く)です。加えて、高リスクの場合は抗凝固薬を併用しています。
血液培養2セット実施率
| 血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に 2件以上ある日数(分子) |
血液培養2セット実施率 |
|---|---|---|
| 1242 | 1105 | 88.97% |
重症感染時には菌血症(血液中に細菌がいる状態)を伴うことが少なくありません。この血液中の細菌を検出する血液培養は、1セット採取よりも2セット採取の方が、検出感度が良好であることが知られています。また、2セット採取は原因菌か採取時の汚染かを判定するためにも重要です。
当院実施率は、約90%と高水準を維持しています。複数セット採取率向上のために、2009年度に「血培2セット」として、検査室からトレイにて2セット払い出すシステムへ変更し、定期的に複数セット採取について広報を行ってきました。現場スタッフの努力もあって、複数セット採取が定着しています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
| 広域スペクトルの抗菌薬が 処方された退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降 抗菌薬処方日までの間に 細菌培養同定検査が実施された 患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の 細菌培養実施率 |
|---|---|---|
| 98 | 83 | 84.69% |
広域抗菌薬を使用する際の細菌培養検査には、検査結果に基づいて抗菌薬を狭域化することで耐性菌の発生を防止する、治療を最適化する、という感染症治療と院内感染対策の二つの点で意義があります。
当院では、この点を推進する文化が醸成・維持されており、それによって実施率は約85%の高い水準となっています。また、広域抗菌薬処方の際には届出が必要で、届出の様式に培養検査を提出の有無についてチェックする項目を設けており、このシステムも高い実施率に一役買っています。
転倒・転落発生率
| 退院患者の在院日数の総和 もしくは入院患者延べ数(分母) |
退院患者に発生した転倒・転落件数 (分子) |
転倒・転落発生率 |
|---|---|---|
| 44350 | 425 | 9.58‰ |
入院における転倒転落事故は多く報告される事例であり、その原因には、入院による環境の変化・疾患そのものの影響や治療・手術などの身体的なものなど様々なリスク要因があります。転倒転落を完全に防止することは難しく、中には重大な結果をもたらす場合もあります。転倒転落の防止対策では、①個々の患者さんのリスクを把握して事故の発生を可能な限り防ぐこと、②万が一事故が発生したとしても患者さんに及ぶ被害を最小限にするという2つの視点からの取り組みが重要です。
病院全体の取り組みとして、転倒転落への意識強化をしていきたいと考えています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
| 退院患者の在院日数の総和 もしくは入院患者延べ数(分母) |
退院患者に発生したインシデント 影響度分類レベル3b以上の 転倒・転落の発生件数(分子) |
転倒転落によるインシデント影響度 分類レベル3b以上の発生率 |
|---|---|---|
| – | – | – |
分子の値が10件未満と小さく、医療の質として良好な結果ですが、値が小さすぎるため「-(ハイフン)」で表示しています。
インシデント影響度分類レベル3bとは、濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)事故のために継続的な治療が必要になった状態を指します。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
| 全身麻酔手術で、 予防的抗菌薬投与が実施された 手術件数(分母) |
分母のうち、手術開始前 1時間以内に予防的抗菌薬が 投与開始された手術件数(分子) |
手術開始前1時間以内の 予防的抗菌薬投与率 |
|---|---|---|
| 129 | 124 | 96.12% |
手術部位感染(SSI)を予防する対策の一つとして、手術前後の抗菌剤投与があります。手術執刀開始の一時間以内に適切な抗菌剤を静注射することでSSIを予防することがガイドラインで推奨されています。
当院では、予定手術開始前1時間以内の予防抗菌剤投与については2011年から取り組みを開始しています。手順の整備だけではなく、麻酔科医やチーム内での連携により術前の予防的抗菌薬投与は適切に行われています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
| 退院患者の在院日数の総和もしくは 除外条件に該当する患者を除いた 入院患者延べ数(分母) |
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上 の褥瘡)の発生患者数(分子) |
d2(真皮までの損傷)以上の 褥瘡発生率 |
|---|---|---|
| 40713 | 12 | 0.03% |
褥瘡発生率は、全身状態、栄養管理、ケアの質評価に係わる指標です。
当院の発生率は1%以下になっています。
要因として、①エアマット管理システムを改善し、高機能エアマットの導入が更に促進されたこと、②各病棟に対して皮膚・排泄ケア特定認定看護師が学習会等重点的に介入したこと、③看護教育研修で褥瘡セミナーを行ったことが挙げられます。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
| 65歳以上の退院患者数 (分母) |
分母のうち、入院後48時間以内に 栄養アセスメントが実施された 患者数(分子) |
65歳以上の患者の入院早期の 栄養アセスメント実施割合 |
|---|---|---|
| 2073 | 1089 | 52.53% |
入院早期に低栄養リスクを評価し、適切な介入をすることで、早期退院、予後の改善につながります。
身体的拘束の実施率
| 退院患者の在院日数の総和 (分母) |
分母のうち、身体的拘束日数の総和 (分子) |
身体的拘束の実施率 |
|---|---|---|
| 44350 | 1217 | 2.74% |
医療の現場では、自らの身に生じる危険を回避することが困難な患者さん・高齢者の方に対して、危険を回避する目的で、身体抑制を選択せざるを得ない場面があります。その際、身体抑制の必要性に関する判断は、患者さんの生命・身体の安全確保の観点から行い、必要最小限にとどめることが大切です。この指標は、身体抑制の実態を把握し、早期に抑制解除を行う努力が継続されているかを検証するものです。
当院では、2022 年度より看護部の主任・副主任会が主体となり、身体抑制ゼロに向けた取り組みを推進してきました。患者さんの人権を重視した看護が実践できるよう「抑制解除できる時間の検討」をはじめ、「患者さんの命を守るための一時的な身体抑制の実施」が明確になるよう、マニュアルと日々の記録の見直を行い活用しています。その成果として、経年的に減少させることができています。
2024年度の診療報酬改定においては、さらに身体的拘束等の基準が厳格化され、患者さんまたは他の患者さん等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束はおこなってはならないことが明記されています。入院料の施設基準として「組織的に身体的拘束を最小化する体制を整備すること」が新たに加えられ、身体的拘束を行う場合には、その態様及び時間、その際の患者さんの心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないことや、身体的拘束最小化チームの設置が要件に追記され、チームの役割として、指針の作成、身体的拘束の実施状況の把握、管理者を含む職員に定期的に周知徹底すること、当該指針の定期的な見直し等が必要とされています。
そのため新たに認知症・せん妄ケア委員会に「身体拘束等最小化チーム」を設置し、各病棟師長がチームの一員として職場ラウンドを定期的に行いながら、身体的拘束解除に向け医師を含む多職種とのカンファレンスを定期的に開催できるよう仕組みづくりを行い、患者さんの人権尊重と安全を確保したチーム医療を展開しています。