チーム医療の指標

入院患者の他科診察の依頼割合

分子・分母
 分子:退院患者で入院中に他科受診のあった患者数
 分母:退院患者数
指標の説明
 多くの疾患を持っている入院患者さんの診療に対して、それぞれの専門の科に診療内容の確認や、協力を依頼することは、診療の透明度、チームワークの度合いを示すもので、医療の質を表します。
指標の種類
 プロセス
考察
 2025年度は23.2%と前年より大幅に下がりました。2024年4月に耳鼻咽喉科が閉科、2025年には皮膚科の休診時期や体制の変化があったことが影響していると考えられますが、依頼減少の根本的な要因は不明です。今後も専門科間の相談、コミュニケーションを維持し、よりよいサービスの提供に努めたいと思います。

ケアカンファレンス実施率

分子・分母
 分子:退院患者のうち医師・看護師・コメディカルによるカンファレンス記録のある患者数
 分母:退院患者数
備考(除外項目等)
 電子カルテ上に、医師・看護師を含む3職種以上が参加したカンファレンス内容の記録があるものを条件としてカウントを行っています。
指標の説明
 患者の多面的な要求に応える医療やケアを実践するには、多くの職種による専門性の結集が不可欠です。初診時や定期的に開催される多職種カンファレンスは、こうした医療やケアの要であり、全人的医療の実践がどの程度できているかみるための指標として設定しました。全退院患者のうち、一度以上ケアカンファレンスが実施された比率をみたものです。
指標の種類
 プロセス
考察
 2025年度の実施率は30.2%で前年より0.8ポイント減少しました。
 医師の治療方針を多職種で共有し、それぞれが専門的評価を行うことで、患者の状況を把握し、より適切な治療、社会的支援が推進されると思われます。しかし、2016年をピークに実施率は減少しています。2024年度は病棟会議の再開やカンファレンス開催数や状況把握等により若干増加していましたが、2025年度はまた減少へ転じました。
 再度、チーム医療、多職種協同の医療を目指し、カンファレンスのあり方、運営方法等を検討していきます。

リハビリテーション実施率

分子・分母
 分子:退院患者のうちリハビリテーションを実施した患者数
 分母:退院患者数
備考(除外項目等)
 退院患者のうちPT/OT/STのいずれかのリハビリテーションを実施した事がある患者数
 但し3日以内退院は除く
指標の説明
 急性期病院に於けるリハビリテーションは、疾病治療に合わせた廃用症候群・合併症などの予防や機能改善を目的としています。そのため早期からのリハビリ介入が重要とされています。当院では入院後早期より多職種(医師、看護師、リハビリテーションスタッフ)で適応について相談しリハビリテーションを実施しています。
指標の種類
 プロセス
考察
 2016年度以降リハビリテーション処方のシステム管理や診療体制などを整備し、実施率の拡大を図りました。2019年以降は対象者の拡大だけではなく、患者様1人1人へのリハビリテーション提供量が十分に確保できるよう、体制整備や学習を進めています。
 2025年度は実施率63.1%と前年より4.3ポイント減少はあるものの、入院された患者様のリハビリテーションの必要性について医師や他職種と協議し、治療の促進目的や退院支援のためにリハビリテーションが必要な場合には早期より介入出来るよう連携しています。
 リハビリテーション実施単位数(総単位数/訓練実施日数)は全日本民医連報告(R6)の中央値は2.3単位、当院急性期はPT1.8単位でした。実施単位数については全日本民医連報告の中央値を下回りますが、地域包括ケア病棟や地域包括医療病棟での疾患別リハビリテーション以外で患者様との関わり、他職種連携にも力を入れ早期退院や安全な療養生活への支援を行っています。
 今後も実施率と並行して、患者様に良質なリハビリテーションが提供出来るように体制・体系整備を行うとともに多職種連携の強化に努めていきます。
参考文献等
 厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」令和6年度全日本民医連報告

クリニカルパス利用率

分子・分母
 分子: クリニカルパス使用患者数(入院中複数のパスを利用していても1とする)
 分母:退院患者数
指標の説明
 クリニカルパスは、病気ごとに検査や治療、看護ケアなどの内容およびタイムスケジュールを一覧表にしたものを言います。わが国には1995年頃から導入され徐々に普及してきました。クリニカルパスの使用は、患者さんにとっては診療の予定が分かりやすいという利点があり、医療者にとっては科学的根拠に基づいた標準的な医療の実践、医療スタッフ間での情報の共有、チーム医療の推進に役立ちます。クリニカルパス使用の増加は、内容の分析・見直しにもつながり、医療の質の向上にもつながります。
考察
 2025年度のクリニカルパス利用率は28.5%で、前年から1ポイント増加しました。
 パス未評価(パスに設定している評価項目の評価がされていない)件数がかなり多い月があり、検証の結果、パス評価が途中になっているものがあることがわかりました。評価ができていない理由として、操作方法の習熟度に問題があることが判明しました。新入職員含め、操作方法の周知を継続的に実施して行きます。
 パス利用率を伸ばすため、整形外科のパスを2件新規に作成しました。2026年度は胃瘻交換パスの運用など、内科系のパス作成をすすめる予定です。

褥瘡新規発生率

分子・分母
 分子:入院後に新規に発生した褥瘡患者数(1名の患者が複数発生しても、患者1名として数える。同一入院中に別部位に発生した場合は、1件として追加する)
 分母:調査月の新入院患者数(前月繰越し患者数+新入院)
 ・指定期間末日の退院患者を含める ・指定期間末日の入院患者を含めない
備考(除外項目等)
 入院後に新規に発生した褥瘡を対象としています。DESIGN-R2020で評価。
 2021年度からは医療機器による褥瘡は含めない。
指標の説明
 褥瘡予防対策は、提供されるべき医療の室の重要項目であり、全身状態、栄養管理、ケアの質評価に係わる指標です。
指標の種類
 アウトカム
考察
 2020年から皮膚・排泄ケア特定認定看護師が専従業務として褥瘡管理にあたっており、徐々に発生率は低下しています。2025年度は0.57と飛躍的に改善(低下)しました。具体的には次の3点の実施が効果を上げたと考えています
 ①エアマット適正使用が促進した事。(必要時の使用、物品選択、体重設定)
 ②看護師ラダー教育での講義、褥瘡回診の同行、職場でのOJTの促進。
 ③各職場の褥瘡対策委員会担当者(看護師、薬剤師、リハビリ、栄養科)が年間を通して自部署での活動目標を立案して、年度末に成果を発表する取り組みの継続。
 2026年度も引き続き褥瘡発生率の低下を目標とし、より改善できるように推進していきたいと思います。
参考文献等
 1)日本褥瘡学会編:褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版),2015.
 2)日本褥瘡学会編:ベストプラクティス医療関連機器圧迫創傷の予防と管理,2016.