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水島協同病院 臨床指標


感染対策の指標

中心静脈カテーテル関連血流感染率・使用比

中心静脈カテーテル関連血流感染率・使用比
感染率 分子・分母

 分子:中心静脈カテーテル関連感染者数
 分母:当月入院患者の中心静脈カテーテル留置延べ日数

使用比 分子・分母

 分子:中心静脈カテーテル留置延べ日数
 分母:延べ入院入院患者数

備考(除外項目等)

 感染率の単位 ‰
 使用比の単位 %

指標の説明

 厚労省研究班の推計によると、日本での中心静脈カテーテル関連血流感染による年間死亡者数は少なく見積もって5,000~7,000人いるとされ、ICUにおいては中心静脈カテーテルの留置が退院時の患者死亡のリスクを増加させることも示されています。中心静脈カテーテル関連血流感染対策は医療関連感染対策の重要な柱のひとつとなっています。

指標の種類

アウトカム

考察

 2016年度の使用比は前年度と同じでした。中心静脈カテーテル使用比は経年的に低下を示していますが、感染率も同様に経年的に低下傾向にあり、2016年度は前年度より大きく減少しました。感染率が減少した要因として、挿入部のカテーテル固定方法の周知、マキシマルバリアプリコーションの実施、調剤・混注時のマニュアルの徹底など、種々のバンドルケアの見直しと徹底を図ったことが挙げられます。今後も適切な使用により、使用比・感染率の減少のために適切な挿入部位の選択、適応の検討、実施中の管理強化、早期の抜去などの対策を行っていきたいと思います。

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尿留置カテーテル関連尿路感染率・使用比

尿留置カテーテル関連尿路感染率・使用比
感染率 分子・分母

 分子:尿留置カテーテル関連感染者数
 分母:当月入院患者の尿留置カテーテル留置延べ日数

使用比 分子・分母

 分子:尿留置カテーテル留置延べ日数
 分母:延べ入院患者数

備考(除外項目等)

 感染率の単位 ‰
 使用比の単位 %
 全部署で実施(2階西病棟、3階南病棟、3階北病棟、4階南病棟、4階北病棟)

指標の説明

 尿路感染は医療関連感染の約40%を占めており、そのうち66~86%が尿道カテーテルなどの器具が原因です。いったん尿道カテーテルを挿入すると15日までに50%、1ヶ月までにほぼ100%尿路感染を起こすといわれています。尿路感染は一般的に重症化することなく無症状で経過することが多いのですが、ハイリスク患者では膀胱炎、腎盂炎、敗血症に至ることがあるため、管理を徹底することが重要です。尿留置カテーテル関連尿路感染対策は医療関連感染対策の重要な柱のひとつとなっています。

指標の種類

アウトカム

考察

 2016年度の尿留置カテーテル使用比は0.03ポイント増加していました。2010年からマニュアルを作成し、カテーテル管理を強化し、カテーテル使用基準に基づく早期のオムツや導尿への移行で、カテーテルの使用は前年度まで減少していました。2016年度の増加は泌尿器科手術件数増加に伴う使用例の増加です。
 当院の感染率は尿細菌学的検査の評価をもとに測定しています。最近尿細菌学的検査の件数が減少傾向にあり、感染率の正確な測定に支障を来しています。必要な細菌検査を行うよう働きを強める必要があります。引き続きカテーテル挿入基準の遵守と、日々の抜去へのアセスメントも進めていきたいと考えます。

参考値:JANIS ICU部門2012.7~12  感染率 0.5

参考文献等

カテーテル関連尿路感染予防のCDCガイドライン 2009

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血液培養実施件数

血液培養実施件数
指標の説明

 抗生剤の適正使用は、①細菌の同定(Fever workup)、②推定的治療(Empyric therapy)、③確定的治療(Definite therapy、推定的治療から確定的治療の切り替えをDe-escalationと言います)、④抗生剤の速やかな終了から構成されています。血培実施件数は、日常診療の中で細菌の同定の努力が適切に実施されているかどうかをみる指標として設定しました。

指標の種類

プロセス

考察

 血液培養の実施件数は、2008年の220件から2009年の342件、2010年の486件、2011年の549件と増加していました。2012年度は445件と後退し、2013年度は508件、2014年度は528件、2015年度484件と低下したものの、2016年度は548件と増加しました。件数が増えたのは、研修医などへの指導が徹底され、救急を中心としてしっかり採取されたことや、フォローの血液培養採取などが要因と思われます。一方病棟での熱発への対応、特に夜間・休日の実施が課題です。当院の血液培養陽性率は、全ボトル当たり21.4%、全患者当たり27.0%であり、血液培養の適切な実施の判定基準とされる血液培養陽性率5~15%と比較しても当院の血液培養件数はまだ少ないと言えます。医師の入れ替わりもあり、血液培養の重要性を確認し、実施の徹底をはかる必要があります。

参考文献等

CUMITECH血液培養検査ガイドライン,医歯薬出版株式会社

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血液培養のボトルが複数提出された 患者の割合

血液培養のボトルが複数提出された 患者の割合
分子・分母

 分子:同一日の血液培養検査で複数の培養ボトルが出された延べ患者数
 分母:血液培養検査が行われた延べ患者数

指標の説明

 重症感染時には菌血症(血液中に細菌がいる状態)を伴うことが少なくありません。この血液中の細菌を検出する血液培養は、1セット採取よりも2セット採取の方が、検出感度が良好であることが知られています。また、2セット採取は原因菌か採取時の汚染かを判定するためにも重要です。

指標の種類

プロセス

考察

 2016年度の実施率は、98.2%と引き続き高水準を維持しています。「血培2セット」検査室からトレイにて2セット払い出すはシステムへの変更や現場スタッフの努力もあり、ほぼ常識となっています。

参考文献等

Quality Indicator 2010「医療の質」を測り改善する(聖路加国際病院の先進的取り組み) インターメディカ

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血液培養での表皮ブドウ球菌コンタミネーション率

血液培養での表皮ブドウ球菌コンタミネーション率
分子・分母

 分子:表皮ブドウ球菌のコンタミネーション延べ患者数
 分母:同一日の血液培養検査で複数の培養ボトルが出された延べ患者数

指標の説明

 血液培養を実施する際、皮膚の常在菌が混入し、しばしば結果の解釈に問題を生じます。この指標は、血液培養の採血時、常在菌の混入を防止するため、適切な手技がどの程度行われているかを見る指標です。

指標の種類

プロセス

考察

 2016年度のコンタミネーション率は1.9%であり、適正な水準を維持できています。2012年度からマニュアルを改訂し徹底をはかるとともに、血培実施に実施日時、実施状況、採血部位、採血者を記載する報告書の活用による改善と考えられます。現場ではスタッフの入れ代わりもあるため、血液培養採取のマニュアルを順守しコンタミネーションを防止するため継続的な教育も必要と考えます。

参考文献等

Quality Indicator 2010「医療の質」を測り改善する(聖路加国際病院の先進的取り組み) インターメディカ

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総黄色ブドウ球菌検出患者の内のMRSA比率

総黄色ブドウ球菌検出患者の内のMRSA比率
分子・分母

 分子:期間内のMRSA検出患者数
 分母:期間内の黄色ブドウ球菌検出患者数

指標の説明

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は院内で最も多く分離される耐性菌であり、院内で分離される黄色ブドウ球菌に占める割合は50-70%とされています。MRSAの感染経路は接触感染によるものです。(「MRSA保有/感染患者→医療従事者の手指→患者」や「MRSA汚染の環境→医療従事者の手指→患者」)
 MRSAの検出率の低下には院内での手指衛生材料の使用量の増加や広域抗菌薬の使用量の減少が関係しているとする報告もあります。この指標はMRSA検出率低減を目的に実施された手指衛生の遵守、環境衛生の徹底、抗生剤の適正使用など、感染対策全般を評価するものです。

考察

 この値は病院の持つ様々な条件や背景が大きく影響するものではありますが、抗生剤の適正使用や標準予防策の徹底、MRSA保有者への対応などが大切です。
 入院でのMRSA検出率は、2015年度の69.2%から2016年度は58.4%と低下しました。対策が奏効していると思われます。JANISの院内感染サーベイランスの公開情報全参加施設では、2012年1月~12月でMRSAは118,539件、全ブドウ球菌は231,909件であり、MRSAの全ブドウ球菌に対する割合を計算すると51.11%でした。当院の比率はこの値と比較すると依然高い値です。MRSA保有/感染患者の管理、手指衛生の遵守、環境衛生の実施、抗生剤の適正使用など、感染対策の徹底が必要です。

 外来でのMRSA検出率は2016年度33.4%と高値を示しました。外来でのMRSA検出率増加は市中獲得型の増加と思われ、治療にあたっては「風邪に抗菌薬を使わない」など抗菌薬を適切に使用していくことが重要と思われます。

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中心静脈カテーテル挿入時のマキシマル・バリアプリコーション(高度無菌遮断予防策:MBP)実施率

中心静脈カテーテル挿入時のマキシマル・バリアプリコーション(高度無菌遮断予防策:MBP)実施率
分子・分母

 分子:マキシマル・バリアプリコーション実施数
 分母:新規中心静脈挿入件数

指標の種類

アウトカム

指標の説明

 末梢静脈カテーテルと比較して、中心静脈カテーテルは感染の危険性が高く、中心静脈カテーテル挿入や管理には十分な注意が必要です。中心静脈カテーテル挿入時にはマキシマル・バリアプリコーション(MBP)が不可欠な感染対策であり、手指衛生に加えキャップ・マスク・滅菌ガウン・滅菌手袋・大型滅菌全身用ドレープが用いられます。MBPは、標準予防策(滅菌手袋・小さいドレープ)と比較すると中心静脈カテーテル関連血流感染の発生率を減少させることが実証されています。

考察

 2011年から2013年度までの実施率は80%台と増加していましたが、2015年度は70%台に低下、2016年度は再度80%台に回復しました。
 研修指導にあたる医師のMBPの実施などが実施率の増加に繋がったと考えられます。
 今後も、マニュアルに従ったMBPの実施の徹底、医師への理解と協力依頼を強め医師間での実施率の差の解消など、MBP完全実施に向けて取り組みたいと考えます。

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病棟における手指消毒薬使用量

病棟における手指消毒薬使用量
指標の説明

 医療環境で発生している多くの感染症は医療従事者の手指を介して伝播しており、手指衛生はすべての医療従事者が習熟すべき基本的な技術となっています。2002年にCDC(米国疾病対策センター)は手指衛生のガイドラインを改訂し、医療現場における手指衛生の基本として、簡便で消毒効果が高く、手荒れを起こしにくいアルコールベースの手指消毒薬を使用した方法を勧告しました。医療従事者の手指衛生実施の遵守状況の改善度を測定するために、手指消毒薬の使用量調査は有用となっています。使用量は病棟の各設置場所及び個人の実際使用した量を計測し表示しています。

指標の種類

プロセス

考察

 2016年度の手指消毒薬使用量は最も使用量の多かった2012年度の64.9%まで減少しました。2012年度は個人携帯にしたため手指消毒薬の使用量は増加しましたが、その後個人の携帯の使用が減少すると共に手指消毒薬も減少してきました。2013年度には1回当たりの噴霧量が従来の半分のタイプに交換したことで使用量が減少しました。また、2015年度から導入したアルコール性の消毒液の“べたつき”が不評で、使用量の減少に繋がったことも一因です。2017年度はべたつきのない手指消毒液へ変更により、使用量の増加が期待されます。
 WHOが定式化している手指衛生の5つのタイミングを実施できるよう教育学習を進め、中でも「患者に触れる直前の手指衛生」に重点を置き手指消毒をすすめたいと思います。「手指衛生は、適格性、プロフェショナリズム、敬意の証」を合い言葉に教育をすすめ、時系列の数字が増加するよう努力したいと思います。

参考文献等

手指衛生等に関する文献:CDCの手指衛生ガイドライン2002年

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市中肺炎患者死亡率

市中肺炎患者死亡率
分子・分母

 分子:市中肺炎患者死亡患者数(成人);軽症、中等症、重症、超重症
 分母:退院した市中肺炎患者発生患者数(成人);軽症、中等症、重症、超重症

備考(除外項目等)

 ICDコードJ13$~J18$を対象(15歳以上で、入院前1ヶ月以内の入院歴、療養病院・施設滞在者を除く)とします

指標の種類

アウトカム

指標の説明

 抗菌化学療法の発達した現在においても、肺炎は今なお罹患率、死亡率の高い疾患です。しかもその罹患率は人口の高齢化とともに増加し、死因別死亡数は悪性新生物、心疾患に次いで第3位を占めています。肺炎の診療には、原因菌の確定と適切な抗菌剤の選択のみならず、酸素療法、呼吸管理等、総合的な対応が求められ、病院の集学的な治療レベルの示す指標のひとつと考えられます。

考察

 2016年の市中肺炎に分類される入院患者(DPC対象の肺炎患者から長期療養型病床群・介護施設からの肺炎、1ヶ月以内の入院歴のある肺炎を除いてはいるもの)は204名で、重症度別の患者数は、軽症25名(12.3%)、中等症130名(63.7%)、重症33名(16.2%)、超重症は16名(2.0%)でした。全体として、軽症から中等症が多く占めていますが、重症から超重症での死亡率が急激に上昇することから、肺炎の重症化を防ぐための事業所の総合的な対応力を強めることが求められます。(各重症度別死亡率は、全体7.8%、軽症4.2%、中等症4.8%、重症13.8%、超重症45.5%でした。)この数字は、JRS2005検証委員会が行った全国調査の死亡率、軽症0%、中等症3.1%、重症9.9%、超重症19.9%と比較して、いずれも高値を示しました。これは、報告施設の正確によりバイアスがかかっている可能性があります。

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