倉敷医療生活協同組合 水島協同病院 オフィシャルサイト

水島協同病院 臨床指標


医療安全の指標

①ヒヤリハット/事故報告数 ②医師の報告率(医師の報告数/ヒヤリハット事故報告総数)

指標の説明

  米国AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality:医療研究品質局)は、医療安全文化評価表を作成し、そのデータを収集・分析し医療安全向上のための活動に用いています。出来事報告の頻度は、安全文化という理念を具体的行動として表すものとして医療安全文化尺度の1つに位置づけられています。
  当院の医療安全文化を測定する指標として、ヒヤリハット/事故報告数と医師からの報告率(%)を設定しました。

指標の種類

プロセス

考察

  2015年度の全報告数は2101件(前年比107.2%)、不具合・苦情を除いたヒヤリハット/事故報告数は1556件(前年比101%)でした。2013年度に新しいインシデント報告システムが導入され、一時的に報告数が減少しましたが、2015年度は回復し過去最高の報告数となりました。適正な報告数については、ベッド数の4倍とする報告もあり、「報告する文化」の定着へむけての継続的な取り組みが必要です。
  また2011年度から医師の報告率を上げる取り組みとして、手術バリアンス報告制度、侵襲的検査・処置・治療におけるバリアンス報告制度を導入、医療安全ニュースによる意識喚起、研修医の報告数の増加があります。2015年度医師の報告数は92件(前年比119%)、報告率5.9%でした。医師の報告件数は伸びていますが、全体の報告数が増加しているため報告率は5%台に留まっています。医師の報告率が5%を超えている病院は、医師の問題意識および医療安全に対する取り組む姿勢が高いと評価されています。医師からの報告率をさらに高めていくことが課題となっています。

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①入院患者の転倒転落発生率 ②治療を必要とする転倒転落事故発生率

分子・分母

  分子:①入院患者の転倒転落件数  ②当院の事故レベル区分3b以上の転倒転落件数
  分母:入院延べ患者数

備考(除外項目等)

  転倒転落件数は、医療安全管理室に報告されたヒヤリハット/事故報告書をベースにしています。

指標の説明

  入院における「転倒転落事故」は、「薬剤」に次いで多く報告される事例であり、その原因には、入院による環境の変化・疾患そのものの影響や治療・手術などの身体的なものなど様々なリスク要因があります。転倒転落を完全に防止することは難しく、中には重大な結果をもたらす場合もあります。転倒転落の防止対策では、①個々の患者さんのリスクを把握して事故の発生を可能な限り防ぐこと、②万が一事故が発生したとしても患者に及ぶ被害を最小限にするという2つの視点からのとりくみが重要です。
  転倒転落の指標では、転倒転落事故発生率と治療を必要とする転倒転落事故発生率を設定しました。治療を必要とする転倒転落事故レベルは、当院の事故レベル区分3b以上(縫合処置・筋肉関節の挫創・骨折・頭部外傷等で処置治療を必要としたもの)としました。

指標の種類

アウトカム

考察

  当院の新入院患者における転倒転落リスク患者の割合は約6割であり、リスク患者が集積しています。その内、特に注意が必要な中~高リスクの患者は8割以上を占め、転倒転落事故の約8割が病室・ベッドサイドで発生しています。
  転倒転落発生件数/発生率は、2015年度212件(前年比98%)/2.4(前年比96)%となっています。2013年度から転倒・転落発生率、治療を必要とする転倒・転落発生率ともに横ばいで推移しています。
  低床ベッド・離床センサーマット・クッションマット等の導入による環境対策の整備に加え、2011年度から入院時のリスクアセスメント実施率と転倒転落の予防対策立案率の向上と患者・家族への説明への取り組みを開始し、アセスメント実施率は、98.6%(前年比101%)、転倒転落の予防対策立案率、患者・家族への説明率は95.7%(前年比104%)と改善しました。
  転倒転落のきっかけとなった患者の行動をみると、「排泄行為に関連したもの」が47%を占めており、排尿パターンに合わせた定期的な排泄介助の検討と取り組みが課題と考えています

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①患者誤認発生率 ②患者誤認件数

分子・分母

  分子:患者誤認発生件数
  分母:入院延べ患者数+外来延べ患者数

備考(除外項目等)

  患者誤認件数は、医療安全管理室に報告されたヒヤリハット/事故報告書をベースにしています。

指標の説明

  患者誤認には、患者Aを患者Bとして薬剤を投与したり検査や処置等を実施する「患者同定の間違い」と患者の同定は正しいが、別の患者の薬剤を投与したり検査や処置等を実施する「処置等の取り違え」を含んでいます。また受付時の登録間違い・書類の受け渡し間違い・書類・フィルム・検査結果への名前の誤記載等も含めています。
  患者誤認は、重大事故につながる危険性もあるため、患者誤認の発生件数を減らしていくとりくみが重要です。

指標の種類

プロセス

考察

  2015年度の患者誤認件数・発生率は75件(前年比101.4%)、0.27%(前年比100%)ともに前年と横ばいでした。発生場面別では、内服関連での誤認が42%、次いで検査における患者誤認が20%と多いのが特徴です。入院と外来での患者誤認件数/発生率の比較では、入院の発生件数は外来の1.1倍、発生率は2.6倍となっており入院での誤認防止対策、特に内服関連における誤認防止対策が課題となっています。取り組みとしては薬剤管理シートの活用があります。
  外来での誤認件数、誤認発生率が入院より少ないのは、「患者にフルネームと生年月日を名乗ってもらい確認する」が定着してきていることが背景にあります。また院外処方であることも少ない一因であると考えられます。

参考文献等

福井次矢監修『Quality Indicator2010「医療の質」を測り改善する』 インターメディカ(2010)

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針刺し事故発生件数

指標の説明

  血液・体液暴露は医療従事者の健康や生命を脅かす重大な出来事です。特に針刺し事故は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなど危険な感染のリスクが高く、恒常的な防止策が必要です。針刺し事故を減らすには、安全装置つき器材の導入や、その正しい操作方法の習得と処理方法の徹底が求められます。

指標の種類

アウトカム

考察

  2005年より順次、翼状針・留置針・リザーバー針等安全器材や携帯用針捨て容器を導入してきましたが、針刺し件数の減少には至りませんでした。2009年度より毎年、『針刺し防止学習』と題し、針を扱うすべての職種を対象に学習会(実技含む)を実施しています。2014年度は、ペン型インスリン針専用の廃棄容器を導入したことを機に、正しい廃棄方法徹底のための実技と『針刺し防止の心得』『発生時の対処』を当院の事例を紹介しながら学習会をしました。その結果2015年度はペン型インスリン針での針刺しは見られず、針刺し件数は大きく減少しました。今後も安全器材の使用方法を繰り返し学習していきたいと思います。

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CV挿入時の合併症発生率

分子・分母

  分子:レベル3b以上の合併症件数(感染除く)(バリアンス報告)
  分母:CV挿入カルテ記録件数

指標の説明

  中心静脈カテーテル(CVC)は、主に完全静脈栄養法(TPN)を行う際の高濃度栄養剤注入を目的として施行され、画期的な栄養法として世界中に普及しています。しかし一方、CV挿入手技に伴う気胸や動脈穿刺等、重篤な合併症が5%前後の確率で発生しており、安全な穿刺手技の実施が求められます。

考察

  CV挿入に伴う合併症の発生率の低減を目標に、2013年から安全なCV挿入にむけた仕組みづくり(セルジンガーキットの導入、エコーガイド下穿刺手技の導入、CV挿入時の救急カートの設置とモニター装着、マキシマルバリアプリコーションの実施、24時間のモニタリング、挿入時のチェックリストによる安全確認、CV報告書の導入、CVC研修会への継続的医師派遣による教育・トレーニング,PICCの導入等)に取り組んできました。2015年度の取り組み毎の実施割合はチェックリストによる安全確認の実施率99.2%、モニター装着83.2%、救急カートの準備80.7%、エコーガイド下穿刺47.1%、エコー使用率87.4%、PICC6.7%でした。この間、治療を必要とする合併症の発生率は0~0.9%で推移し、一般的に報告されている合併症の発生率と比較して良好な数値となっています。一方2015年では、感染症の発生率が高い大腿静脈の穿刺例、穿刺回数3回以上の例の増加など、課題も残りました。

参考文献等

医療安全全国共同行動(医療の質・安全学会 医療安全全国共同行動企画委員会)

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