倉敷医療生活協同組合 水島協同病院 オフィシャルサイト

水島協同病院 医療の安全管理指針

2016年 8月 1日

第1 趣旨

 この指針には、水島協同病院(以下「病院」という)における安全な医療の提供の考え方と医療事故の発生防止対策および医療事故発生時の対応方法についての方針を定める。
 その目的は、病院が医療事故防止体制を確立し、安全文化を醸成することにより適切でかつ安全で安心な医療の提供につとめることにある。


第2 安全管理に関する基本的な考え方

  1. 医療の質の向上と安全の確保は、医療機関が最優先に取り組むべき課題の1つである。
  2. 「人間はエラーを犯すもの」という観点に立ち、医療事故が発生しない仕組みを院内に構築していくとこが重要である。
  3. 本指針は、組織レベルおよび個人レベルでの2つの事故防止対策を推しすすめる事によって医療事故の発生を未然に防ぎ、患者が安心して安全な医療を受けられる環境を整えることを目標とする。
  4. 安全で安心な医療の提供に向け、全職員がそれぞれの立場からこの問題に積極的に取り組む。
  5. 不幸にして発生した事故に対しては、総力を挙げて治療に望み、患者・家族に対して誠実に対応する。

第3 用語の定義

医療事故

  1. 誤った医療または管理を行ったことが明らかであり、その行った医療または管理に起因して、患者が死亡もしくは心身の障害をきたした場合、または予期しなかった、もしくは予期していたものを上回る処置・治療を要した場合。
  2. 誤った医療または管理を行ったことは明らかではないが、行った医療または管理に起因して、患者が死亡もしくは心身の障害をきたした場合、または予期しなかった、もしくは予期していたものを上回る処置・治療を必要とした場合。
  3. 表1でレベル3b 以上のものを扱う。

ヒヤリハット

  1. 医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された場合。
  2. 誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかった場合、または軽微な処置・治療(消毒・湿布・鎮痛剤投与など)を要した場合。
  3. 誤った医療が実施されたが、患者への影響が不明な場合。
  4. 表1でレベル0.01~3a のものを扱う。

ヒヤリハット、医療事故のレベル 表1

第4 医療の安全管理体制の整備

 病院は、以下のように医療の安全管理体制を確立する。


1 医療安全管理委員会の設置

  1. 病院は、医療安全管理委員会(以下「委員会」という)を設置する。
  2. 病院は、委員会の規定を別に定める。
  3. 会議の規定には、会議の構成、所掌事項、議事録の作成、ヒヤリハット事故報告の方法などを定める。

2 医療安全推進担当者委員会の設置

 病院は、委員会のもとに医療安全推進担当者委員会を設ける。


3 医療安全管理室の設置

 病院は、医療に関する安全管理のための体制を確保するために、院長直属課に医療安全管理室を設置する。
 医療安全管理室は以下の業務を行う。

  1. 各部門における医療安全対策の実施状況の評価に基づき、医療安全確保のための業務改善計画書の作成および安全対策の実施状況の評価を行い結果を記録する。
  2. 医療安全管理委員会との連携状況・院内研修の実績、患者等の相談件数および相談内容、相談後の取り扱い、その他医療安全管理者の活動実績を記録する。
  3. 医療安全管理委員会の構成員等の参加したカンファレンスを週1回程度開催し、取り組みの評価を行う。

4 医療安全管理者の配置

 病院は組織の医療安全管理を推進していくために医療安全管理者(専従医療安全管理者)を配置する。
 医療安全管理者は、以下の業務を行う。

  1. 医療安全管理に関する企画立案および評価
  2. 定期的な院内巡視による各部門の医療安全対策の実施状況の把握・分析と安全確保のための具体的改善対策の推進
  3. 各部門における医療安全推進担当者への支援
  4. 医療安全対策の体制確保のための各部門との調整
  5. 医療安全対策に係わる職員研修の企画・実施
  6. 相談窓口等の担当者と密接な連携による医療安全対策に係わる患者・家族の相談体制への支援
  7. 事故発生時の初動対応を行い、事象の把握に努める

5 医薬品安全管理者の配置

 病院は、医薬品の使用に係る安全管理のための管理者を配置する。
 医薬品安全管理者は、以下の業務を行う。(医療法施行規則 第11条の11第2項)

  1. 医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成
  2. 職員に対する医薬品の安全使用のための研修の実施
  3. 医薬品の業務手順書に基づく業務の実施
  4. 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集、その他医薬品の安全確保を目的とした改善のための方策の実施

6 医療機器安全管理者の配置

 病院は、医療機器の安全使用のための管理者を配置する。
 医療機器安全管理者は、以下の業務を行う。(医療法施行規則 第11条の11第2項)

  1. 職員に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
  2. 医療機器の保守点検に関する計画書の策定および保守点検の適切な実施
  3. 医療機器の安全使用のために必要な情報の収集、その他の医療機器の安全使用を目的とした改善のための方策の実施
  4. 病院で管理する医療機器に係わる安全管理のための体制の整備

7 医療安全推進担当者の配置

 各部署に医療安全対策を推進する担当者として医療安全推進担当者を配置する。
 医療安全推進担当者は、以下の業務を行う。

  1. 担当部署のヒヤリハット/事故報告書の積極的な提出の促進
  2. 担当部署の医療安全管理に関する問題の提起と対応の検討(分析・対策・評価)
  3. 院内で回付される安全情報および予防対策に係わる情報の担当部署への周知・徹底
  4. 医療安全に関する職員研修への職員の参加の促進
  5. 担当部署の医療安全対策の推進

8 医療安全相談窓口の設置

 医療の安全に関する相談窓口を医療相談室に設置し担当者を配置する。
 相談窓口を医療社会課(医療相談室)とし、その旨掲示する。


第5 医療の安全管理のための具体的方策の推進

1 情報公開と患者参加の医療そしてチーム医療の推進による安全な医療の提供

  1. 情報公開
    病院は、カルテ開示をはじめ医療の情報公開を積極的にすすめる。
    水島協同病院「医療の安全管理指針」は、患者・家族の希望によりいつでも閲覧可能にする。
    上記指針は、病院ホームページを通じても閲覧可能にする。
  2. 患者参加
    注射、服薬、検査、輸血などあらゆる医療行為の実施時には、患者とお互いに声を出して名前を確認する。
    同時に薬や注射の内容や施行方法を確認しあうことを原則とする。
  3. チーム医療の推進
    医師と看護師らは緊密な連携をもって患者を中心としたチーム医療を推進する。

2 安全管理マニュアルの整備

  1. 医療の安全を確保するために実施マニュアルを作成し、関係職員に周知徹底をはかる。
  2. マニュアルは必要に応じて見直し、医療安全管理委員会で検討および承認を行う。

3 医療安全管理のための研修・教育

  1. 医療安全管理委員会は少なくとも1年に2回、全職員を対象とした医療安全管理のための研修会を実施する。 その他必要に応じて適宜研修会を開催する。
  2. 研修は、医療安全管理の基本的な考え方、事故防止のための具体的な手法を職員に周知徹底することを通じて、職員個々の安全意識の向上をはかるとともに、病院全体の医療安全を向上させることを目的とする。
  3. 全ての常勤職員は、2回/年は研修を受講しなければならない。
  4. 研修の記録は、医療安全管理室において最低3年間保管する。

第6 報告及び再発防止

1 報告

  1. 病院は、医療の安全に資するよう、ヒヤリハット事故事例の報告を促進するための体制を整備する。
  2. ヒヤリハットおよび事故報告については、表2の報告の流れに準ずる。
  3. 報告書を提出した者に対して、当該報告を提出したことを理由に不利益処分を行ってはならない。
  4. 報告書の運用・管理については、『不適合サービス等の報告書運用マニュアル』に準ずる。

ヒヤリハット報告の流れ(レベル0.01~3a) 表2
 ヒヤリハット(レベル0.01~3a)事例が発生した場合、①当該者または発見者はインシデント管理システムの不適合報告書を作成し報告する。

医療事故報告の流れ(レベル3b 以上)
レベル3b以上の医療事故が発生した場合、

①当該者または発見者は、休日夜間を問わず口頭で直ちに現場責任者に報告し、現場責任者は看護部長(看護部長が不在または連絡がつかない場合は副看護部長)に口頭で直ちに報告する。

②現場責任者が不在または連絡がつかない場合は、当該者・発見者が直接看護部長(看護部長が不在または連絡がつかない場合は副看護部長)に報告する。

③医師が当該者・発見者の場合は、口頭で直ちに病院長に報告する。

④報告を受けた病院長は、医療安全管理者に必要な指示を出す。

 当該者または発見者は、口頭報告後、初期の患者対応が落ち着いた時点で、できるだけ速やかにインシデント管理システムの不適合報告書に詳細を記述し、報告書を作成する。

2 事故予防策 再発防止策と職員への周知・徹底・実践・評価

  1. 医療安全管理委員会は、報告された事例を検討し、医療の安全管理上有益と思われるものについて、再発予防の観点から、組織としての改善に必要な防止対策を作成する。
  2. 事故の検証は、医療安全管理委員会を中心に行う。必要に応じて関連部署・専門家を交えた検証・M&Mカンファレンス(Mortality & Morbidity Conference)を開き原因分析・対策を検討する。
    M&Mカンファレンスの事例について、医療安全管理委員会で決定したものは、開催日およびメンバーについては委員長が招集する。
  3. 医療安全管理委員会は、委員会の協議に基づいて決定された事故予防策について、医療安全ニュースや部署医療安全推進担当者を通じて職員に周知・徹底する。
  4. 医療安全管理委員会は、策定した改善案が各部門において確実に実施され、かつ安全対策として有効に機能しているかを点検・評価し、必要に応じて見直しを図る。

第7 医療事故発生時の対応

1 レベル4以上の重大事故が発生した場合

 『重大医療事故発生時の対応マニュアル』に基づき対応する。


2 事故の初期対応

  1. 救命、健康障害の拡大防止のための治療や処置を最優先とする。
  2. 当事者は必要に応じて支援を要請する(ブルーコード、専門の医師)。院内のみで対応困難な場合は、遅滞なく他の医療機関に協力を求め、必要なあらゆる情報を提供する。
  3. 当事者は病棟師長あるいは管理当番師長、病棟担当医あるいは当直医に報告する。
  4. 当事者等は使用済み医薬品・医療材料・医療機器等を現状保全あるいは回収する。
  5. 当事者等は適時、診療記録を記載する。
    • 初期対応が終了次第速やかに記載する。
    • 処置・薬剤など実施内容・患者の状況についてできる限り継時的に記載する。
    • 事実を客観的に正確に記載する。推測や予測に基づく記載をしない。
    • 患者・家族(遺族)への説明や内容・やりとりは必ず記載・入力する。
    • 記録の改ざん・隠滅は厳禁とする(電子カルテは修正履歴が残る)。
    • 正確を期すために可能な限り上司又は同僚の点検を受けながら記載する。
  6. 当事者は医療安全管理者、看護部長、病院長等に概要を報告する。
  7. 患者・家族に連絡・説明する。
    • 原則主治医が説明する。師長が同席する。師長不在時は職責者が同席する。
    • 不幸な結果の場合は遺憾の意を表す。
    • 事故と判断される場合は、原因究明と適切な時期に説明をする旨を告げる。

3 事故発生後の対応

  1. 医療安全管理者は、状況を把握・関係者から聴取、使用した物品等の回収と保管するとともに、速やかに病院長に詳細を報告する。
  2. 病院長は、緊急対策会議の開催を指示する。また行動計画を作成するとともに、院内事故調査委員会の設置を判断する。
  3. 緊急対策会議の検討事項
    • 警察への届け出の必要性
    • 医療事故調査・支援センターへの報告の必要性
    • 院内事故調査委員会の設置の必要性
    • 行政機関(保健所等)への報告の必要性
    • 保険会社・顧問弁護士などへの報告
    • 患者・家族への対応窓口
    • 対外的な対応窓口

4 院内事故調査委員会

 死亡事故の扱いは、2015年10月に施行された医療事故調査制度に基づく。


4-1 死亡・死産における医療事故の定義

  1. 医療起因しまたは起因すると疑われる死亡または死産であって、当該死亡または死産を予期しなかったものと、病院長が判断したもの。
  2. 医療の起因性:
    • 医療行為のみならず看護師の提供する「療養上の世話」「診療の補助」も含まれる。
    • 医療提供者には医療の提供に従事する全ての者が含まれる。
    • 医療に起因する行為の中に原病の進行・併発症・自殺・殺人/傷害致死・災害によるものは含まれない。
  3. 予期しなかったもの:以下の事項に該当せず,病院長が認めたもの
    • 事前に医療従事者から患者に対し死亡または死産が予測されることを説明していた。
    • 事前に医療従事者により死亡または死産が予期されていることを診療録その他文書等に記録されていた。
    • 事後医療従事者からの聴取により死亡または死産が予測されていたことが確認された。
    • 緊急の症例で、蘇生や治療を優先するために、説明や記録を行う時間の猶予がなく、かつ、比較的短時間で死亡した事例。
    • 患者が繰り返し同じ検査や処置等を受けており、その危険性について過去に説明しているため説明と記録を割愛した事例。

4-2 院内事故調査会の構成員

 病院長・看護部長・事務長・事故に関連する部署長(責任医師と師長)・医療安全管理者・外部の専門家など。


4-3 事故調査

  1. 事実確認と原因究明を目的とする。
  2. 業務工程表・業務フロー図・手順等、出来事を時系列で記述する。
  3. 上記の後、要因や原因について調査を進める。
  4. 当事者からの事情聴取、診療録などをもとに進める。

4-4 原因分析

 原因分析の目的は、医療安全の確保、責任追及、訴訟対策ではない。


4-5 対策立案・改善・評価

  1. 業務フロー図や根本原因分析により対策を立案する。
  2. 根本原因への対策、事故の要因に対する応急対策を考える。
  3. 院内規定・手順の改訂、手順の遵守の検証・評価の仕組みを作る。

4-6 事故報告書の作成

  1. 病院長は、院内事故調査委員会の調査内容を医療事故調査・支援センターに報告する。
  2. 報告書に基づいて遺族に十分に説明する。

5 当事者の職員への対応

 当事者も精神的打撃を負うので、病院が組織的に支援する。